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Songs

2023年1月25日(水)〜2月5日(日)、南青山の写真画廊Nadar(https://g-nadar.net)で開催される写真展Songs Vol.6に参加します。今回はこのことについて書いてみたいと思います。


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Songsは今回で6回目となる「写真と音楽は切り離せない、そう思っている人たちの写真展」です。私は音楽好き、いわゆるNo Music No Lifeな人間です。昔バンドをやっていたこともあり、曲からイメージを受けて写真作品を作ることが多いので、いつかはこの写真展に参加したいと思っていました。実は昨年も今回と同じ曲で応募しようとしていたのですが、日程的に都合がつかないため参加できませんでした。2年越しの参加ということになります。


今回取り上げた曲「砂漠の君へ」は2020年に発表された羊文学(https://www.hitsujibungaku.info)のメジャーデビュー作品です。

コロナが発生し、おうち時間が増えた副作用として、いろいろなバンドの音楽に触れる機会が増えましたが、その中で出会った最も衝撃を受けたバンドの一つです。 (もう一つはChai(https://chai-band.com )。これは次回取り上げます)



羊文学


羊文学は塩塚モエカ(Vo、Gt)、河西ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Ds)からなる3ピースロックバンドです。その特徴は”引きの美学”だと思います。

最近の曲は音数も手数も多く、歌詞も難しい単語や刺激的な言葉が多いような印象を持っています。対して羊文学の曲の音数は少く、2音しか鳴っていないような時もあります。また音数が多い時でも3人分を超える音は鳴っていません。その代わり、選ばれる音は厳選しておりそれは今回の曲でも確認できます(河西ゆりかさんの音選びは素敵です)。歌詞も同様に平易な日本語で歌われていますが、歌われる内容は核心をついています。このシンプルな構成が、歪んだギターの音色と相まって誠実で、切実で、個人的で、等身大のメッセージとして伝わってきます。このバンドはぜひご紹介したいと思いました。



「砂漠の君へ」の写真表現


「砂漠の君へ」は青春時代の葛藤について、「私」の一つの解決を歌った作品です。

夢を追い「砂漠」に辿り着いた「君」と、それについて行くが耐えられなくなる「私」。

就職で上京するカップルの姿と重なりました。早朝の新宿駅バスターミナルはそんな人たちが集まる場所です。大きな荷物を持って、ここから都会の砂漠に歩き出していく。この曲を聴いた時、私が真っ先に思い浮かべたのはこの場所でした。

あるものは成功し、あるものは「ごめんね」と言い残して去る。そしてこの「私」の選択も等身大で、人間的です。「私」が誰かのために真剣に悩み、考える姿はその結論に関わらず尊いものと思います。私は普段はストリートスナップをメインとしています。街で普段すれ違う人の中にも心の中にこのような尊い選択を秘めた人がいるのかもしれません。そういう人へのリスペクトとエールをこの写真で表現したいと思いました。


このページの扉の写真はこのイメージで撮影しました。非常に気に入っている写真です。

ここまでは、当初想定した通りの作品です。

が、最終的に展示する作品はこれとは異なります。



展示作品について


「砂漠の君へ」はこの2年間で何百回も聴いた曲です。青春の課題に対しての解決として「ごめんね」になりますが、聞き込むにつれモエカさんのインタビューでこの曲と同時にリリースした「Girls」という曲についての話が頭をよぎりました。(https://www.cinra.net/article/interview-202008-hitsujibungaku_ymmts


モエカさん曰く、

「そうは言っても、ただ後ろから見ているだけが女性じゃねぇぞ!」 と。


「Girls」という曲はこの「砂漠の君へ」と対になっている曲です。

(ちょうどThe PoliceのEvery Breath You Take と If You Love Somebody Set Them Freeみたいですね)


「砂漠の君へ」の状況について、青春での等身大の回答としては「ごめんね」だと思いますが、大人としての回答は「あなたはあなたの道を。私は私の道を。」それぞれが人として独立する力強さを持つことだと思います。そうすれば離れていても共に歩むことができます。展示作品はこのページの扉の絵と比較して「ごめんね」から一歩大人に向けた力強さを、「君」に向けて語っているようで実は自分に向けて言った「ごめんね」を脱ぎ捨てた印象を持ちました。これはモデルをして頂いたアンナさんと作り上げた化学反応だと思います。客観的に美しい作品か、良い作品かはわかりませんが、私が本展示作品で伝えたいメッセージは込められたと思います。ぜひ展示会場にてご確認ください。


一つの作品に想いを込める過程って、楽しいですね。



先日、モエカさんに直接お会いして、この写真展のことを話す機会がありました。

突然話しかけたのでご迷惑だったかもしれませんが、話を聞いていただけて有り難かったです。私は緊張し、動転しうまく話せたか甚だ疑問です。ほぼ偶然だったの何の前準備もできなかったのが残念です。フライヤーでもお渡しできたら来ていただけたかしら?これは高望みですね。


最後に

今回はストリートスナップやポートレートとは異なる仕上げとしたかったので、砂漠の旅をイメージしたマキシ丈のコートを作成し、アンナさんに着て頂きました。作品にご協力いただいた夏アンナさん、素人手作りの衣装にも関わらず着て頂きありがとうございました。素敵な化学反応で当初意図しなかった作品が出来上がったことをありがたく思います。撮影を終え、一通り現像を終えて、今、全てがしっくり来ました。


 
 
 

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